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トルコ被災地で「こころのパンプロジェクト」 日本の芸術家の作品を展示
99年に死者1万7千人以上を出す2度の大地震に見舞われたトルコでこの夏にも、日本の芸術家の作品を巡回展示する「こころのパンプロジェクト」計画が実現する。現地では心に深い傷を残す人たちがいまなお多く、生活も復興途中にある。阪神大震災で海外から美術作品が贈られ、被災者を励ました例をヒントに、神戸の被災者らが「芸術という『こころのパン』を通して希望を持ってもらおう」と呼びかけた。
企画したのは、神戸市在住で非営利組織(NPO)「国際協力アカデミー」(広島市)の中浜慶和さん(61)、トルコ人留学生の東大大学院研究生イナン・オネルさん(27)ら。 中浜さんは阪神大震災で被災したのを機に、知人の一級建築士とともに耐震化など「市民防災」の研究を始めた。99年11月にイスタンブールであった危機管理セミナーに招かれた日、その年2回目の大地震が起きた。テレビは、泣き崩れる少女と、その前で死亡した父親がシートにくるまれる光景を映していた。阪神の惨状が重なり、「何かしたい」と、強く思った。 阪神大震災で、「心の慰めを」とベルギー市民から神戸の六甲カトリック教会に聖母子像が贈られたのを思い出した。「今度は我々の番」と、一昨年夏、トルコで日本の芸術家11人によるアート展を開くと同時に、全国の芸術家に協力を呼びかけた。 彫刻家で東京造形大客員教授の伊藤礼太郎さん(77)=千葉県船橋市=は神戸市東灘区に借りたアトリエで震災に遭った。「周囲の家は全半壊。火災も見えた」。その体験をもとに、大地のエネルギーを表現したヒノキの作品を仕上げた。
新進美術家の母袋(もたい)俊也さん(47)=神奈川県藤野町=は99年夏に同町であったアートイベントに参加した際に、トルコ地震を知った。滞在中のトルコの作家メリチ・フザルさんが、気にかけながらも制作に励む姿を見て、美術の社会へのかかわり方を考えた。「日本の現代美術を見てもらい、何かの役に立ちたい」と思っている。 画家の福田美蘭さん(38)=東京都世田谷区=は「作家として社会にかかわりを持ちたいと思った。美術は人々に勇気を与え、現実をより良く生きるために発想の転換を促す」という。 すでに彫刻家や画家ら三十数人の内諾を得ており、今夏にもアンカラやイスタンブール、イズミル、アンタリアなどの都市を巡る計画。被災者が参加できるワークショップも開く。 巡回展の終了後、作品は被災したデイルメンデレにできる美術館に恒久展示されることも決まっている。デイルメンデレは芸術の街で、海岸に展示されていたオブジェの多くが地震で失われた。市長やトルコの大学も巡回展に支援を申し出ている。 現地との連絡に追われるイナンさんは「トルコと日本の間で新しい交流ができるのが楽しみ」と張り切る。運営費を募り、問い合わせは中浜さんの単身赴任先ダイキン工業東京支社(03・3344・8056)へ。
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